露出 ── 明るさは「3つのダイヤル」で決まる
写真の明るさは、絞り(F値)・シャッタースピード・ISO感度の3つの組み合わせで決まります。まずは下のカメラで3つのダイヤルを自由に動かしてみましょう。ボケはファインダーの背景で、ブレとノイズはダイヤル下の小窓でリアルタイムに確認できます。右上で「実写真で見る」に切り替えると、明るさとノイズの変化を実際の写真でも確認できます。
絞り(F値)= 光の入り口の広さ
F値を小さくするほど光がたくさん入って明るくなり、背景がふわっとボケます。F値を大きくすると暗くなる代わりに、奥までシャープに。お部屋全体を見せたいときはF8前後がおすすめです。
シャッタースピード = 光を取り込む時間
遅くするほど明るくなりますが、動くもの(そして手ブレ)がブレて写ります。手持ち撮影なら1/60秒より速くが安心。それより遅くしたいときは、三脚の出番です(→ 04 三脚)。
ISO感度 = 光への敏感さ
数字を上げるほど暗い場所でも明るく写せますが、ざらざらしたノイズが増えて質感が損なわれます。基本は低め(100〜400)で、絞りとシャッターで足りないときに少しずつ上げていきましょう。
実例で見る「明るさの調整」
EXPOSURE COMPENSATIONまったく同じ逆光のシーン。カメラが「窓が明るすぎる」と判断して暗く写した1枚(左)と、手動で明るさをプラスに補正した1枚(右)。中央の線を左右にドラッグして見比べてみましょう。
写真:Re:CENO Mag「インテリア写真の撮り方コツ6選」より
オートの明るさが正解とは限らない
スマホでもカメラでも、明るさは自分で調整できます(スマホは画面タッチ→太陽マークをスライド)。特に窓が画面に入る逆光では、カメラが必要以上に暗く写しがち。「目で見た明るさ」に近づくよう、プラスに補正してあげましょう。「なにか暗い…」という失敗写真がなくなります。
シーン別 ── どのダイヤルを優先する?
PRIORITY NAVIピント ── 「どの距離に合わせるか」で主役が決まる
ピントは「点」ではなく「距離」に合います。フォーカスリングを左右にドラッグすると、カメラ画面のボケ方と一緒に、横から見た「ピント面」の位置が動くのが分かります。絞り(F値)を変えると、ピントが合って見える範囲=被写界深度が広がったり狭まったりするのも観察してみましょう。
実際の写真で確かめる ──「ピントは距離で合う」
FOCUS = DISTANCE同じ距離にあるものは、同時にピントが合います。右のオブジェにピントを合わせたまま、左のオブジェだけを遠ざけると──離れたぶんだけボケました。主役と背景の「距離の差」がボケをつくります。
写真:Re:CENO Mag「インテリア写真の撮り方コツ6選」より
カメラを動かしても「距離の差」は作れます。シェルフの上の3つの花瓶。正面からだと全部が同じ距離で並びますが、ななめから撮ると手前の1つだけが浮き立ちます。
写真:Re:CENO Mag「インテリア写真の撮り方コツ6選」より
ピントは「距離」に合う
カメラから同じ距離にあるものは、すべて同時にピントが合います。主役をどれにするかを決めてから、その距離にリングを合わせる。この順番が基本です。
F値で「深さ」が変わる
F値が小さいとピントの範囲は薄く(主役だけがくっきり)、大きいと深くなります。F16まで絞ると、手前から奥までピントが合う「パンフォーカス」に近づきます。
ボケを作る2つの方法
①主役と背景の距離を離す、②カメラを動かして距離の差を作る。この原理はスマホでも一眼でも共通です。主役を浮き立たせたいときに思い出してください。
構図 ── 主役を「どこに置くか」を決める
まずはカメラやスマホの設定で「グリッド」を表示しましょう(縦横2本ずつのもの)。画面を縦横3分割した線の交点に主役を置く「三分割構図」が、いちばん分かりやすくて効果のある構図です。実際の写真にグリッドを重ねて、主役がどこにあるか確かめてみましょう。
実例で見る「三分割構図」
RULE OF THIRDS
ラタンチェアを左の縦線の上に。ベッドは右にまとめて、視線が自然に主役へ向かいます。
一眼カメラにて撮影 / Re:CENO Magより
テーブルフォトはまず主役を交点寄りに置き、そこから他のアイテムを配置するとバランスよくまとまります。
一眼カメラにて撮影 / Re:CENO Magより
スマホでも同じ。主役のカップを右下の交点あたりに置くだけで、ぐっと様になります。
スマホにて撮影 / Re:CENO Magより
お部屋の一角でも。右下の交点に小物を置き、左上は余白に。抜け感のある一枚になります。
一眼カメラにて撮影 / Re:CENO Magより
実践 ── フレームを動かして、構図を決める
REFRAME実例を見たら、今度は自分で。これは1枚の実際の写真です。明るい枠が「あなたが切り取る構図」。枠をドラッグして、主役のカップ(緑の目印)を三分割の交点に合わせてみましょう。右の「撮れる写真」がリアルタイムで変わります。
もうひとつの基本 ──「水平」と「垂直」
LEVEL & VERTICALカメラの位置が高いと、遠近感の歪みで縦の線が「逆ハの字」にすぼみます(左)。意識して低く構えると、柱や家具の縦線がまっすぐ整います(右)。
写真:Re:CENO Mag「インテリア写真の撮り方コツ6選」より
グリッドは「傾きチェック」にも使えます
お部屋は正確な直線でできた「建物の中」。写真が傾いていると違和感が強く出ます。グリッドの横線と、床や棚のラインが平行かを確認しましょう。
そして「垂直」。つい目線の高さで構えがちですが、縦の線がまっすぐになる高さまでカメラを下げると、綺麗に整った印象の写真になります。
三脚 ── 暗い部屋でも、ブレずに明るく
夕暮れの、すこし暗いお部屋を撮るシーンです。明るく写すにはシャッターを遅くする必要がありますが、手持ちでは手ブレしてしまいます。シャッタースピードを変えながら、手持ちと三脚それぞれでシャッターを切って、写りの違いを見比べてみましょう。
ここに写真が表示されます
三脚は「時間の自由」をくれる
三脚でカメラが固定されると、シャッターを何秒開けてもブレません。暗いお部屋でもISOを上げずに、なめらかで明るい写真が撮れます。
手ブレの目安は「1/焦点距離」
手持ちの限界は「1 ÷ レンズの焦点距離」秒がひとつの目安。50mmなら1/50秒、35mmなら1/35秒。これより遅くするなら三脚を立てましょう。
インテリア撮影は三脚が定番
お部屋の撮影は室内光だけのことが多く、実は三脚がいちばん活躍するジャンル。構図をじっくり整えられるのも、三脚の大きなメリットです。
三脚を使ってもブレる?── 原因と解決策
TROUBLESHOOTING① シャッターの押し込みで揺れる
ボタンを押す指の力で、カメラはわずかに揺れます。2秒セルフタイマー(上のシミュレーターで体験できます)やリモコン・スマホからの遠隔シャッターを使って、手を離してから撮りましょう。
② 床や三脚そのものが揺れる
人の歩行や家電の振動など、床の揺れは意外と写真に写ります。振動が収まるのを待ってから撮影を。三脚はセンターポールを伸ばしすぎず、脚をしっかり広げて、硬い床に立てると安定します。
③ 手ブレ補正の誤作動
意外な落とし穴ですが、三脚に固定しているときはレンズやカメラの手ブレ補正をOFFにするのが基本。補正機構が「存在しない揺れ」を探して、逆にわずかなブレを生むことがあります。
自然光 ── 光の「向き」が写真の空気をつくる
写真のもうひとつの主役が「光」。お部屋の写真では「カメラと被写体と窓の位置関係」がすべての始まりです。見取り図の太陽(=窓)をぐるっとドラッグして、順光 → サイド光 → 半逆光 → 逆光の変化を見比べてみましょう。下の実例写真も、光の向きに合わせて切り替わります。

まずは「自然光を取り込む」ことから
LET THE LIGHT IN同じ明るさで撮っても、ブラインドを開けて「一方向からの光」を取り込むと、陰影が生まれて印象的に。お部屋全体を撮るときは、まずカーテンやブラインドを開けましょう。
写真:Re:CENO Mag「インテリア写真の撮り方コツ6選」より
小物を撮るときは明るい窓の近くへ移動。被写体の質感やフォルムが、生き生きと浮かび上がります。
写真:Re:CENO Mag「インテリア写真の撮り方コツ6選」より
作例 ── サイド光と逆光
EXAMPLES
サイド光窓を真横に。ディティールを残しつつ印象的に写る、いちばん使いやすい光です。
一眼カメラにて撮影 / Re:CENO Magより
逆光窓を後ろに。ふんわりドラマチックに。明るさはプラスに補正するのを忘れずに。
一眼カメラにて撮影 / Re:CENO Magより
順光 ── 陰影が生まれない光
カメラの背中側から当たる光。色は正確に写りますが、影が消えてのっぺりした印象に。特別な意図がない限りは避けて、記録用カットに使い分けましょう。
サイド光〜逆光 ── インテリア写真のおすすめ
カメラから見て被写体の横〜後ろに窓がある状態。陰影が素材の質感を引き立て、逆光に近づくほどドラマチックに。まずはサイド光〜半逆光から試してみましょう。
逆光 ── 露出補正とセットで
雰囲気は抜群ですが、主役は暗く沈みます。露出をプラスに補正するか、レフ板(白い板・白い壁)で影側に光を返してあげましょう。
応用テクニック ── 奥行きと「ヌケ感」をつくる
基本をおさえたら、写真をもう1段素敵に見せるテクニックへ。「近景・中景・遠景」で奥行きをつくり、望遠レンズで画面を整え、編集で復習する。プロのカメラマンが実践している考え方です。
「近景・中景・遠景」の3つをつくる
DEPTH LAYERS
写真:Re:CENO Mag「インテリア写真の撮り方コツ6選」より
3つの「景」で奥行きをつくる
近景には、あえて手前のテーブルの端や椅子、観葉植物の葉などを写り込ませます。中景に主役(この写真では置き時計)を配置。遠景には窓や外の気配を入れて「広がり」を連想させると、2次元の写真に奥行きが生まれて「ヌケ感」のある一枚に仕上がります。
ボタンを押して、3つのレイヤーの位置を確かめてみてください。
できるだけ「望遠レンズ」で撮る
TELEPHOTO同じ被写体を同じ大きさで撮り比べ。広角は空間が間延びして歪みがち、望遠は目で見た形に近く、画面がグッと圧縮されて整った印象になります。
写真:Re:CENO Mag「インテリア写真の撮り方コツ6選」より
「離れて、望遠で」が合言葉
スマホなら「2x」「3x」レンズがこれにあたります。画面に収まらないときは、周りの家具を動かしてでも被写体との距離をとって望遠で。それでも収まらないときに、はじめて広角に切り替える──プロはそれくらい望遠を優先します。
編集ラボ ── 「明るさ」を編集で試す
EDIT & LEARN
写真は「撮ったまま=本当の写真」とは限りません。スライダーを動かして、この写真の「いちばん良い明るさ」を探してみましょう。
編集は「嘘」ではなく「復習」
カメラにはそれぞれ癖があり、同じ場面でも写り方は変わります。編集で理想のイメージに近づけながら、「撮影時にこうすれば良かった」を発見する──編集をたくさんするほど、写真は上手くなります。
まずは「明るさ」と「傾き」
編集アプリで必ず調整したいのは明るさ。まずは目で見た明るさに合わせて、そこから少し暗め・明るめも試します。あわせて傾きの補正とトリミングで構図も整えましょう。
編集しすぎには注意
大きく編集するほど画質は粗くなっていきます。編集で「復習」を重ねて、撮影の時点で整えられるようになることが、上達のいちばんの近道です。
撮影前の、6つのおさらい
- 01露出:絞り・シャッター・ISOはシーソーの関係。オート任せにせず、逆光ではプラス補正を。
- 02ピント:主役を決めてから、その「距離」に合わせる。主役と背景の距離の差がボケをつくる。
- 03構図:グリッドを表示して、三分割の交点に主役を。水平・垂直の確認も忘れずに。
- 04三脚:1/60秒より遅くなりそうなら三脚を。暗いお部屋こそ、低ISOでじっくり撮れる。
- 05自然光:カメラを動かして、光がサイド光〜逆光になる立ち位置を選ぶ。
- 06応用:近景・中景・遠景で奥行きを。できるだけ望遠で。撮ったら編集して復習する。
道具の理屈が分かると、写真はぐっと自由になります。
次の撮影で、ひとつずつ試してみてくださいね。